龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

井上尚弥の強さについて

今日の私はご機嫌である。井上尚弥の試合には興奮させられた。1ラウンドを見た限りで言えば、ロドリゲスはかなり手強い相手だったのである。過去最強の対戦相手という触れ込みが大袈裟なものではないことがよくわかった。下手をすると井上のKO負けという可能性すら感じられる出だしだったのである。とてもではないが2ラウンドであっさりと井上がKOする展開は予想できなかった。それが2ラウンド開始と同時に怒涛のような攻撃で試合をコントロールし、左フックでダウンを奪い、その直後には右のボディブローで完全にロドリゲスの戦意を喪失させた。それまで無敗の王者が、戦うことを拒否するように泣きそうな顔で何度も首を横に振っていたのが両者の圧倒的な力量の差を雄弁に語っていた。その時点で本来はジ・エンドである。3度目のダウンは不必要であったが、あまりに早く試合を終わらせてしまうことの躊躇がレフェリーにあったのであろうか。

これまでに日本のボクシング界はたくさんの世界チャンピオンを輩出させてきているが、真に世界から注目され、衝撃を与えるスーパーチャンピオンは井上が初めてである。私が見る所、井上の試合はボクシングというよりも剣道や刀の真剣勝負を感じさせるような緊張感が漲っている。間合いというか相手との距離感が井上の戦い方のベースになっていて、井上のモンスター的な強さは短時間の間に、一定の間合いと僅かなパンチの打ち合いを通じて、KOに至る自分のタイミングや呼吸、リズムなどを読み切る能力が並外れて高いところにあるように思われる。今回のロドリゲス戦で言えば、普通のチャンピオンであれば1ラウンドの均衡状態が2ラウンド以降も継続されて、ラウンドを重ねるごとにお互いの体力やスピードも落ちていきクリンチなどが多く見られる展開が一般的である。ところが井上は武士のように短時間で相手との均衡を打ち破る何かを恐らくは理解するのである。だから一定の見合いと間合いの後に、一気に形勢を逆転させて電光石火のように決着をつけてしまうから本当に見ていてスリリングである。鳥肌が立つような興奮がある。このような偉大な天才ボクサーが日本に現れて、その試合が見れるということは私にとって至福の喜びである。