龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

生と死の景気動向指数

個人消費は、底堅くも堅調に推移している。自動車販売台数や旅行者数において景気回復の兆しが顕著に見られる。」(一言一句、正確には覚えていないが、大体こんな感じ)とは、日銀総裁、黒田氏の数日前の弁であるが、果たしてどうなのであろうか。私は、景況感が改善しているようには、感じられないのだが。調べて見るに、確かに旅行者数は増加しているようではあるが、旅行における平均消費額で見れば、国内旅行では3万2千円で、海外旅行では25万円である。(この数値は旅行費用の他、現地での買い物や、食事代等現地消費分を含んでいる。)
http://www.jtbcorp.jp/scripts_hd/image_view.asp?menu=news&id=00001&news_no=1635 (ファイルを開く時にメッセージが出ますが、大丈夫です。)
さて、この金額を皆さんはどのようにお感じになられるであろうか。出張などのビジネスを含んでいるので一概には言えないが、景気の回復傾向が感じ取れる数値と言うよりは、未だ深刻なデフレ基調下の格安価格競争による旅行者数増加と見るのが、自然なのではなかろうか。そもそも旅行とは家計に余裕のある層がなすところのレジャーなのだから、国内旅行で5万円、海外旅行で40万円ぐらいが、平均消費額として妥当なのではないかと私は思うのだが。それでもまだ旅行は、その時一回切りに掛かる費用だから、旅行者数だけで見ていれば、格安のデフレ消費であろうと景気が良くなっているように見えなくもない。ところが自動車は、自動車税や重量税の他、高騰気味のガソリン代などが固定費として掛かってくるので、旅行などよりもより正確に個人消費の動向を示していると言える。ところが自動車の販売台数は黒田氏の言う通りに回復してはいない。日銀や財務省の発表は、嘘ばかりである。
2013年の累計で見れば、普通乗用車も小型乗用車も前年から大きく下回っている。特に今時の若者は、とてもではないが新車を購入して維持していけるだけの余裕にない。環境問題などの時代意識の変化もあるから、景況感だけの問題ではないが、日銀の総裁が時の政府の政策を正当化するような嘘を平気でつくのはいかがなものであろうか。
私の個人的な生活における、身の回りの観察から言っても、とてもではないが景気が回復している兆しは見えない。視察という訳でもないが、たまにデパートに行って紳士服のコーナーを見て回っているが、とても売れているようにはない。その証拠にちょっと売り場で服を見ているだけで、店員が横にやって来るので鬱陶しくてならない。大体、1~2秒で寄って来る。これでは選べないし、買う気も失せる。売れていないからの悪循環である。景気が良ければ、こんなことには、ならないであろう。これで来年の4月から消費税を増税して、どうなるのだろうかと思う。景気が回復基調にあると大本営発表しようと思えば、いくらでもそれなりのデータの取り方はあるであろう。しかし政府や日銀であろうと、データの改竄でもなされない限りは、ごまかしようのない数値がある。それは「自殺者数」である。自殺の原因が、経済苦によるものだけではないが主たる原因の一つである事は間違いないであろう。景気が悪くなると、単純に自殺者数は増加に転ずるのである。その確たる証拠に、1997年に消費税が3%から5%に増税された翌年の1998年に、自殺者数は24,391人から32,863人と34.7%も大幅に増加し、その後も多少の変動はあれど年間3万人台で推移してきている。
ところが2012年には、自殺者数は27,858人と大きく減少している。
政府(民主党)は、これを自殺対策が功を奏したなどと調子のいいことを言っていたが、一体何をしたのか知らないが、そのようなことは有り得ない。私が考えるに、前年2011年に起きた東日本大震災の影響だと思う。親戚や友人など身近の人間が震災で亡くなったり、日々、そういう情報に接して、死というものが日常的でリアルに感じられるような世相になると、自殺は減少するものではないかと、私には思われるのである。あるいは福島原発事故などの影響で数十万人もの人々が、仮設住宅などで避難所生活をしている過酷な現実に、自分も挫けていてはならないと逆に勇気付けられる結果となって、一時的に自殺が減少した側面もあるであろう。しかしその効果も永続的なものではないはずである。来年2014年の4月に消費税を増税するのであれば、2015年から、一旦減った自殺者数はまた、急増に転ずるのではないかと予想されるものである。警察庁の作成したデータでは、これまでの自殺者数の最多は2003年の34,427人であるが、2015年以降の消費税10%社会においては4万人近くまで自殺者数が増加する事態も、個人的には予想されるものである。もちろん先のことなのでどうなるかわからないが、アベノミクスと消費税増税の帰結が、自殺者数の推移によって、嘘偽りなく(何度も言うが、データの改竄がなければの話しであるが)示されるということは間違いないということである。そういうことなのでこの記事を読まれた方は、少し先の話にはなるが、是非、今後の政府やマスコミが発表する景気動向と自殺者数の増減を注意深く観察していただきたいと思う。生きている人間はいつも都合よく嘘をつくが、死者は決して嘘をつかないものである。私が今回、記した記事内容も覚えておいていただきたい。