龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

どこまでも胡散臭い選挙

案の定、自民党の大勝に終わった選挙であった。今回は投票を棄権してやろうかとも思ったが、いつもの習慣で仕方なく投票したものである。選挙の結果を見れば政治の大勢は、ほとんど変わりはない。大勢どころか各政党の議席数を見ても、共産党が大幅に増やしている以外は似たりよったりの数である。言わば現状維持の権力分布である。結果論だと言われればそれまでだが、このような現状維持の政治状況をわざわざ確認するために700億円もの金を費やして、果たして本当に選挙をする必要性があったのだろうか。実質的に選択肢のない選挙など実施したところで金と労力を無駄に使っているだけのことである。それがまさに自民党の政治そのものであるとも言えるであろうが。
しかし敢えて今回の選挙で確かな民意が反映されている点がひとつだけある。それは言うまでもなく投票率の低さだ。戦後最低だった前回総選挙の投票率をさらに5ポイントも下回るという。有権者の二人に一人近くが政党の選択以前に、投票そのものをすなわち日本の現在の民主主義というものに疑問を投げかけ無言の拒否をしているものである。私もいやいや投票はしたものの内実的にはそれらの層に近いものである。安倍総理自民党の勝利よりも、この国民の半数近くの日本の民主主義への拒否反応に対して危機感と責任を持つべきではないのか。安倍総理一人だけではない。与党も野党もなく日本の政治全体、そしてマスコミも含めて何で国民が民主主義の基本である投票から離れていっているのか、その根本に真摯に向き合うべきである。
そもそも前にも述べたことだが、今回の選挙への流れそのものが極めて不自然かつ唐突である。今年の9月に内閣改造を行って、つまり残り2年間の基盤強化をはかっておきながら、その後僅か1ヶ月ほどでどうして解散に決断しなければならない理由となったのか。安倍総理が解散に踏み切る迷いのポーズを見せている段階で、どうしてマスコミは消費税増税の先送りと解散、総選挙を断定して報道していたのか。これでは国民全体がこの選挙に関して大いに白けて当然である。それが今回の投票率の低さに如実に現れている。これらの疑問、不審に対して安倍総理はそしてマスコミもきちんと国民に説明する責任があるはずだ。安倍総理の自主的な判断で、つまり日本の政治主導で行った選挙であるとは考えられない人々、或いはそうとまでは顕在的に考えていなくとも今回の選挙に何がしかの胡散臭さを感じている人が有権者の半数近くも存在しているのである。民主主義の崩壊と自民党の大勝、相矛盾するこの二要素が今回の選挙の特質なのだ。疑問を感じる能力もないようなボンクラ層の領域内だけで大勝するような政治に何の意味があるのか、明晰、明快に説明していただきたいものだ。