龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

夜の幸福


夜の街をただ一人で歩いていると

ほんのり幸せな気分になるのはどうしてだろうか

夜の世界は思考に包まれながら

信号や車のライト、飲食店の看板灯、

イルミネーションの青色ダイオードなどが

まるで私が私であるかのように

優しく静かに明滅している

夜は全ての存在が幸福に立ち返る時間である

私だけではなく

街路樹のプラタナスや家々の窓辺に飾られた観葉植物たち、

玄関前に置かれた大きな狸の石像までもが

自明の幸福を思い出すようにじっと佇んでいる

夜こそ全ての存在が神へと至る

生命を与えられた人形のように喜びで体を震わせて

闇夜に咲く月下美人の匂い立つ甘さで

存在が内奥の神秘を顕わに告白する

街並みには人々の暮らしが息づいている

無数の窓々からは家族の希望や喜びが白く、黄色く漏れ出している

人も物も生きている

私は生にうごめく夜の街を歩く

無上の幸福を感じながら、いつまでもどこまでも歩き続ける

歩く私は詩人であり哲学者でもある

神とともに歩む私は誰よりも幸福だ

明日の朝、私は新しく生まれ変わるであろう

その時に私は自分が幸福であることを忘れているかも知れない

そしてまた太陽の光が私の不幸を照らすのだ

太陽が悪いとは言わない

私は幸福でありつつ、決して不幸から逃れることは出来ない

夜と朝が繰り返す限り

生きるとはつまりそういうことだ