龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

蝉の声

神の声は聞こえずとも
蝉の鳴き声だけは、はっきりと聞こえている。
蝉の鳴き声に御利益はないが
今この瞬間に、確かに私が生きていることを
証明してくれている。
そう言えば昨晩は大雨であったのに
これら数多の蝉たちはどこで過ごしていたのであろうか。
雨に叩き落された死骸の姿は見えない。
まさか雨が止んだ今朝方に
全ての蝉が地上に這い出て、羽化したということはあるまいに。
夜になると全ての蝉は一旦消滅し
朝の光りと共に蝉という観念が
この世に再び具象化するのであろうか。
しかしどうして蝉は
周期的に同調して一斉に鳴き始め
一斉に鳴き止むのか。
そこにいかなる意味があるのであろう。
ならば私の内面の声は
世界とどのように同調するのであろうか。
ああ、私の思念に反応して
蝉たちがまた鳴き始めた。
騒音のような生き物の声に包まれて
私の生は沈黙の言葉へと向かう。