龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

#その他文学

生きること、書くこと 79

何とも言えないような内容の映画だったな。 まあ、全体的には面白かったけど。 黒沢清監督作品、『トウキョウソノタ』を見た。 東京の小さなマイホームで暮らす4人家族のシリアスで滑稽な物語である。 香川照之演じる父親(佐々木竜平)と小泉今日子演じる…

生きること、書くこと 78

世界的な金融不安の流れが止まらない。50年に1度あるかないかの恐慌状態に突入しているようだ。 この金融パニックは大地震のようなものだ。これまでに蓄積されてきたひずみが一挙に噴出しているので ある。本当の地震も大変恐ろしいが、地殻変動による地…

生きること、書くこと 77

私は自称詩人である。自称することに意味がある。 全ての画家が一度は自画像を描くように、真摯に自分自身に向き合わなければ芸術というものは生まれな い。詩人にとっては自分が詩人であることを認め、宣言することが詩人としての第一歩であろう。 だから私…

生きること、書くこと76

結果ではなく、動機を裁くということはそういうことなのである。社会内部の閉ざされたコスモロジーの 機構を維持するためには、調書における作文のように型にはめて都合よく物語を作り変えるか、あるいは 排除(免罪)するかのどちらかしかないのである。 因…

生きること、書くこと 75

最初の報道時点から私は怪しいと思っていた。福岡市の公園で母親が子供を殺害した事件である。母親が トイレに行っている2~3分の間に子供がどこかに連れ去られる事態は十分有り得るだろうが、直後に殺 害されて子供を見失うきっかけになった正にそのトイ…

生きること、書くこと 74

仏陀にしても“野性的”という表現は似つかわしいものではない。仏陀は論理の人であった。著者は、 「肉体を通じてこそ肉体を超える思想を獲得することができる」と述べるがパトス(情念)とは肉体の付 属物に過ぎない。そもそも人間誰もが生きている限りにお…

生きること、書くこと 73

本は買って棚に飾って置くものではなく読まなければならない。 『「野生」の哲学―生きぬく力を取り戻す』(町田宗鳳著、ちくま新書)は、書店で私に買われてから5 年程経ってようやく読まれることとなった。書評を書くには遅きに失した感があるが、私には常…

生きること、書くこと 72

それで同窓会の話しに戻るが、ある女性が私に話しかけてきてくれた。私はその女性のことをまったく覚 えていなかった。それで正直に「申し訳ないけれど、私は覚えていないのです、ごめんなさい」と謝っ た。するとその女性は「一度もクラスが一緒になったこ…

生きること、書くこと 71

今年の5月に中学時代の同窓会があった。ほぼ30年ぶりでの旧友たちとの再会であった。そしてそれは 私にとって単に懐かしいというだけでは済ませない、自分自身の原点を探る回帰をも意味していた。 会場に立ち入ると当時の面影を残す顔も、見知らぬ人間に…

生きること、書くこと 70

昔からテレサ・テンの声が好きだった。彼女が歌う日本語の響きはどこか異邦人の美しさがあった。 内部の外部とでもいうべきであろうか。あるいはそこに留まりつつも通過してゆく矛盾の相克が結晶化し ているかのような声だった。彼女が切々と女の恋心を歌い…

生きること、書くこと 69

私は不勉強で大変恥ずかしいことではあるが、そのような事実を知らなかったのである。担当者は、私の 会社情報や個人情報はまったく見ることなく電話というだけで不採用にしたのだと正直にカミングアウト してくれた。それで話しが見えてくるとともに安心も…

生きること、書くこと 68

ある日のことであるが、電話工事会社の人間が私の会社に飛び込みで営業にやって来た。普段なら相手に しないが、以前に取引のある会社であり担当が変わったという挨拶で来ていたので名刺をもらって少し話 しを聞くことにした。 電話料金についてのことである…

生きること、書くこと 67

とうとう北京オリンピックも終わってしまった。と言ってもそれほど熱心に見ていた訳でもないので特に 感慨深くも名残惜しくもないが。 私が見た範囲で総括して言うと、最も強い印象を受けた競技はやはり野球である。韓国は強かった。ただ その一言である。予…

生きること、書くこと 66

軍事力を背景にした言葉の強さがなければ、外交交渉力を持ち得ないという意味で言ったのではない。 昔読んだアルビン・トフラーの『パワーシフト』だったかと思うが、力(パワー)の要素は暴力と金と知 識であると書かれていたことを覚えている。これは国家…

生きること、書くこと 65

福田首相は竹島問題についての質問に答えて曰く、「双方の立場というものがありますからね」と言っ た。 ご当人は言葉を選んだ上で当たり障りの無い無難な回答をしていたつもりなのだろう。一般多数の大衆に は通用するのかも知れないが、人よりも少しだけ言…

生きること、書くこと 64

日本の道徳規範というものを考えるときに、裁判官や警察、学校の教師などがストーカーや痴漢、盗撮な どの破廉恥罪で日々相次いで逮捕されているような今日的な状況は一体どのように社会分析されるべきな のか。 言うまでもなく本来、裁判官、警察、教師など…

生きること、書くこと 63

最近見た映画で最も心を痛め、考えさせられた映画は阪本順治監督作品の『闇の子供たち』である。 タイを舞台にした幼児売春、人身売買の話しである。山岳地帯の貧しい親たちは自分の子供を売春宿に売 り渡すことによってしか生きてゆくことができない。そし…

生きること、書くこと62

最近見た映画で、最も素晴らしかったのはデヴィッド・クローネンバーグ監督作品の『イースタン・プロ ミス』だ。 ロシアンマフィアの世界を描いた映画である。一口で感想を言うと身体が震えてくるような恐ろしさがあ った。映画の内容がではない。“才能”が恐…

生きること、書くこと 61

私の息子も、もうすぐ8歳になる。ゲームばかりしていて困る。そのゲームソフトを買い与え続けている のは他ならぬ私なのだが。 大阪の街中に住んでいる親は誰もが感じているであろうが、子供の遊び場所がない。時間を潰すには何か 習い事をさせるか、家でゲ…

生きること、書くこと 60

これは3年ほど前のことなのだが、当時のライブドアのブログでアクセス数NO1を誇っていたものにD V冤罪の体験談を書いていたものがあった。 その作者は心から妻を愛していたが可哀想に浮気をされていただけではなく、こともあろうに妻に事実無 根の嘘で…

生きること、書くこと 59

もう10年以上昔のことになるのかと思うと懐かしさすら感じるのであるが、私は1996年にオウム真 理教の道場に話しを聞きに行った事がある。 その前年の強制捜査で教祖、麻原彰晃以下幹部たちが一斉に逮捕されオウム教団の凶悪な犯罪が世の中に つまびら…

生きること、書くこと 59

もう10年以上昔のことになるのかと思うと懐かしさすら感じるのであるが、私は1996年にオウム真 理教の道場に話しを聞きに行った事がある。 その前年の強制捜査で教祖、麻原彰晃以下幹部たちが一斉に逮捕されオウム教団の凶悪な犯罪が世の中に つまびら…

生きること、書くこと 58

“冤罪”が発生する社会的背景というものについて考えてみたい。富山県強姦事件で誤認逮捕された男性 はアリバイがあるにもかかわらず、被害女性2名が面通しの結果「この人だと思う」あるいは「この人 だ」と証言したために犯人にされてしまったのである。 こ…

逃げるな。

自転車に乗って家の近くを走っていた時のことである。ふと誰かに呼ばれたような気がしたので止まって 辺りを見回したが誰もいない。 しかし、止まった場所のすぐ横にあった派出所に銀に輝くポスターが貼ってあって、一言「逃げるな。」 とのコピーが書かれて…

生きること、書くこと 57

たとえば役所の“裏金”の問題一つをとって考えて見ても、社会保険庁の年金横領や着服と同じようなケ ースが考えられるので徹底的に調査すべきであることは言うまでもない。 なら、どうして警察組織の裏金については全国的な問題として大きく取り上げられない…

生きること、書くこと 56

前回の続きであるが、“生き方に関わる情報”とは“道徳に結びつく情報”と言い換えることも出来る。 道徳という言葉に対して人々は、一般にどのようなイメージを持たれるのであろうか。 私は、若い世代の方々のほうが中高年世代よりも道徳に関して敏感だと思う…

生きること、書くこと 55

橋口亮輔監督の『ぐるりのこと』という映画を観た。もう上映は終わっていると思うが感想を述べたい。 夫婦の物語である。初めての子供を身ごもり幸福を感じていた妻、翔子は不幸にもその子供を亡くしてし まったことをきっかけに少しずつ精神のバランスを崩…

生きること、書くこと 53

しかし世の中、小利口な人間ばかりである。現職の裁判官がストーカー容疑で逮捕された。なによりも呆 れたことは、女性の好意を取り戻すために自作自演の馬鹿芝居をしていたことだ。架空メールを送り続け て不安を煽ったあげく女性からの相談を受けることに…

生きること、書くこと 52

日本に痴漢が多いであろうことは認める。国際的に見てとても恥ずかしいことである。事実なのだからそ れはそれである。しかし痴漢は本来、迷惑行為であって犯罪ではないはずだ。 迷惑行為は日常生活の中に無数にある。車の中から中央分離帯に空き缶やゴミを…

生きること、書くこと 51

先日TVを見ていると秋葉原殺傷事件について、その事件発生は社会に原因があって犯人は普通であると 思うか、思わないかという二者択一でのアンケート調査をもとに識者による討論が行われていた。 アンケートの結果は6割以上が社会に原因があるというもの…